73 診療道具としての電子カルテ
(2002.02.21up)
以下の文章は筆者の冨永浩盟先生の許可を得て転載しております。
診療道具としての電子カルテ
鹿児島県姶良郡医師会 冨永浩盟
(この文章は鹿児島県医師会報2002年2月号にて発表された文章です)
電子カルテは当院にとって最良の診療道具となりました。それはDYNAMICSという
大阪の吉原正彦先生が基本骨格を作りメーリングリストで利用者(医師)の意見を聞
きつつバージョンアップしていく仕組みになっています。自分の病院に対応できるよう
少しの努力が必要ですが,私のようにプログラム音痴でもすぐに出来ました。
そこにたどり着くまでの経緯を述べて見ます。
1.厚生省が1999年,電子媒体での記録を認めて私は電子カルテへの期待を大きく
しました。しかし,スタッフのレセプト入力を見ていると,その指先の動きは魔
法使いのようでなかなか馴染めませんでした。
2.1999年も後半になるといくつかの「電子カルテ」なるものが紹介されていまし
たが,「2000年間題」などがありしばらく静観することにしました(このことを
今悔やんでいます)。
3.2000年11月の「全国医療情報システム連絡協議会」に参加するチャンスがあり
このとき多くのデモや説明や発想理念を知ることが出来ました。このとき診療所
としてはdynamicsが,市郡医師会(病診連携)としては新宿区医師会方式が心
惹かれるものでした。
4.家内(大蔵担当大臣)とスタッフの理解を得るのはちょっと苦労しました。(「ワープ
ロ出来な〜い」と泣き出す看護婦もいて…なんとその方は今は生まれたときから
知っていたみたいにスイスイです)
5.平成13年7月導入,8月まで,それまでの会計システムと併用,9月から単独
使用となり現在に至ります。
カルテには紹介状,報告書,検査データ,
フイルム等々整理しなければなりませんが,
これも上記システムで出来ます。私の場合は,
広島の山下郡司先生の作られたRSBaseを
ファイリングシステムとして利用していま
す。これはたいした傑作です。
聴診器など私たちの医療道具は「良いもの
は良い」と購入し,「使い慣れたものが使い
やすい」と同じメーカーを選びます。電子カ
ルテも私たちの大事な道具です。
医療の現場,とりわけ「医師の現場」でこ
つこつと作られたものは,しばしば,同士愛に
満ちたさわやかな感動を与えてくれます。
そもそも,このような素晴らしいソフトと出会えたのは鹿児島市の服部行麗先生のML
(メーリングリスト)Localmtretでそこに大阪
の松岡正巳先生が紹介されておられました。
その運営に敬服,感謝しているところです。
もし今,「基礎をしっかり勉強してから」
と考えている方がおられたら,すぐそれを中
止されて「試用版」を入手して試してみた方
がいいですよ。私の実体験です。基礎の部分
で蹟いておられたら(近所でしたら)出かけ
て行きます。役に立つかもしれません?
昨年,鹿児島県医師会主催の「電子カルテ
講習会」で勉強させていただきました。講習
に使われたシステムは,さすがに高価なだけ
あって背景が椅麗でした。勉強になることも
多くありました。ただ患者さんに見てもらい
たいのは背景ではなく中身です。
(ダイナは新聞紙に包んだ美味しい饅頭、自分でお塩をかけると更に美味くなる。
中身は使用者の
自分での味付け次第で、、、、○○は綺麗な包装紙につつんだ饅頭。
この項matu追記)
個人的な主張ですが,電子カルテは「操作
のプロ」を必要としてはいけません。スタッ
フが交代しても作業は淀まない。その為には
私たち(医師)がほんのちょいと努力する必
要があるようです。
現在まで電子カルテでかえって不便と言う
ことはありません(ウイルスにやられた時は
びっくりしましたがバックアップで無事復旧
しました)心電図もレントゲンも検査データ
も電子化できています。
ところで,DYNAMICという電子カルテ
ご存じでしたか?これは,広告をいっさい出
さないためご存じない方が多いと思います。
広告を出すと経費がかさみます,その分リー
ース科を上げてしまわないよう広告していませ
ん。使った人が「いいな−」と思えば自然に
利用者が増えるという草の根運動」的ソフ トです。(驚きの安さですよ)
実は,この「草の根」の活動こそが素晴ら
しいのです。メーリングリストを介して使用
者(医師)が「何かおかしい」「こうだった
らよいのに」と伝えるとほとんど30分以内に
回答がでます。あるいは次のバージョンで対
応します。と答えてくださり数ヶ月後はバー
ジョンアップとなります。その間に利用者(医
師)の誰かが「こんなプログラム作ったんで
すがdynamicsで利用いただけませんか?」
と申し出られる著作権や利便性などを配慮し
た上でシステムに組み込まれてしまう訳で
す。つまり,常に成長し続ける仕組みになっ
ています。
また,「現場の医師」がその中心にいてプ
ログラムが作られていることが大切です。大
手のソフト屋さんが考える「こうだと便利」
と診療に当たっている医師が考える「便利」
とは微妙に違っていて,たとえば大きな建物
を建てるとき基礎が1度違っていてもできあ
がりは全然違ってきますね,これと同じよう
に工夫された部分ほど「使いこなす」と「使
わされてしまう」の違いが出ます。とは申し
ましても私のDYNAMICS習熟度は25点くら
い,RSBaseは15点ぐらいでしょうか(100点満点の)。それでも患者さんの待ち時間は
半分ぐらいになりました。最近,事務受付担
当が月末月初めのデートの回数が多くなって
きているのが気にはなります。
これから1年ほどは,基幹病院との電脳病診連
携やよく紹介する近くの診療所との電脳診診連携
に情報の共有化・電子化が出来ないかチャレ
ンジしていくつもりです。